愛知県長期滞在患者を支援する はなのきの会
(はなのきハウス)趣意書


  骨髄移植や小児悪性疾患治療等の高度先端医療に関しては、いまだどの病院でも可能というわけではなく、一部の施設に限られています。愛知県はその中でも先進地で、多くの移植専門施設や小児専門病院が集まる日本有数の地域です。また骨髄移植に必要な提供者(ドナー)が血縁者間で見つからなかった場合に、HLA(ヒト白血球抗原)の一致した善意のボランティア(非血縁)からの骨髄提供を得ることができる骨髄バンクが発足し既に6年が経過し、骨髄バンクを通じて行われた移植、採取も既に1300例を越えました。いままでドナーが見つからずに無念の涙をのんだ多くの患者には、生きる「チャンス」が与えられることになったのです。しかし非血縁者間骨髄移植となると、精力的に施行しているところは限られており、血縁間移植をしている病院でさえも、非血縁、もしくは合併症の高く出ると予想される患者・ドナーの組み合わせの移植は、骨髄移植センターを有する基幹病院に患者を転送しているのが現状です。ただでさえ、骨髄移植や抗ガン剤という強力な治療法を受ける患者・患者家族が、見ず知らずの異郷の地で、肉体的・精神的・金銭的な負担と闘いながら長期入院をすることは、非常に苦痛のこととお察しいたします。
 欧米では、マクドナルド社が資本の一部を出資して、主に小児悪性疾患や骨髄移植を対象とした患者・患者家族のために、宿泊施設を安価に提供しています(名称:マクドナルドハウス)。日本と欧米では、医療制度に大きな差があり、アメリカの体制が必ずしもいいとは限りませんが、骨髄バンクを支援する愛知の会としては、遠方からの転院患者・患者家族の支援として、長期滞在のための宿泊制度を確立しようと検討し、愛知県内の主要移植病院を対象に、平成8年2月、遠隔地からの転院長期入院患者(小児悪性疾患患者・内科骨髄移植患者)の、現在の付き添い状況・資金状況等の、金銭的、精神的、物理的負担の現状把握のためアンケート調査を実施致しました。
 その結果、多くの移植基幹病院で、その様な施設が必要であるという回答が得られ、また移植を経験した患者・患者家族からも、そういう施設があれば非常に助かったのにという声が多く聞かれました。具体的には、病院内の付き添いベッドでは手足を伸ばして眠れなかったとか、常に回りを気にして落ちつかなかったとか、たまに遠方から家族全員が面会に来ても思う存分団欒を楽しむことが出来なかった、外泊許可をもらってホテルで一家団らんを楽しんだなど、遠方から治療に来られて精神的、肉体的に非常に苦しい闘病生活を送られた患者・患者家族の生の声を聞くことが出来ました。
 この度平成9年6月〜7月の新聞報道をきっかけに、多くの方から施設の提供の申し入れがあり、念願の支援施設設立に向けての準備を開始、正式発足いたしました。
 患者・患者家族が、安心して治療に専念出来るよう、私たちは努力していきたいと存じます。身一つで転院してきてもその日から快適な入院(付き添い)生活が送れるよう、備品等すべて整った施設を予定しております。そのような支援施設を快適に安価に運営するためには、多くの備品・資金が必要となってきます。
 皆様方の暖かいご支援、ご協力をお願いいたします。

平成9年12月吉日


愛知県長期滞在患者を支援する はなのきの会
世話人代表  大谷 貴子

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