***************************************************************** *TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU* ***************************************************************** * * *  募る会会報 第3号                * * * *               昭和63年 9月 日発行 * * * *    発行 名古屋骨髄献血希望者を募る会 代表 大谷貴子 * *    編集                   北大路元次郎 * * * ***************************************************************** *TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU* *****************************************************************  この8月3日を持ちまして、私たちの団体「名古屋骨髄献血希望者を募る会」が発足してちょうど2年になりました。この間に、提供者募集、骨髄バンクの前身・名古屋骨髄バンク委員会、骨髄バンク準備会、東海骨髄バンク設立準備会を経て東海骨髄バンクが設立され、患者登録も順調に増加し、前号でお知らせいたしましたように、第一号非血縁者間骨髄移植の成功の記者会見を行うこともできました。名古屋募る会は東海骨髄バンクの広報渉外部を担当し、一貫して提供希望者に正しい骨髄移植、骨髄提供の情報を提供してきました。日々の雑務に追われ、会報が定期的に発行できないことが一番の悔やまれるところですが、発行が遅れるにつれて、皆様にお伝えしなければならないことが多くなり、結局前回の予告通りにはならないこともしばしばで、皆様にご迷惑をおかけいたしており恐縮に存じます。  東海骨髄バンクができてからお問い合わせをいただいた方は、東海骨髄バンクに問い合わせたのに募る会から会報が届いて、驚かれる方もあるかと思いますがそのような理由で会報紙は募る会が発行しています。ご了承ください。詳しい経過をお知りになりたい方はいままで発行した1号から12号をお送りいたしますので、郵送料切手250円を同封の上ご請求ください。  さて、前回もお伝えいたしましたように、平成2年4月26日に厚生省の研究会の報告を受け、新たな骨髄バンクに関する研究班が設置、討論を開始いたしました。これは「骨髄バンクのあり方に関する研究班」で、構成メンバー及び内容は別記の通りです。  平成2年6月29日に第一回の合同会議が行われ、その会合で骨髄バンクに関するこれまでの経緯、骨髄移植をとりまく状況、今後の検討計画などが話し合われました。第2回の組織に関する研究班では斎藤英彦名古屋大学第一内科教授(東海骨髄バンク専務理事)が現在の東海骨髄バンクの現状を報告しました。  組織に関する研究班では、本 年末にも報告書が、適応及び評価に関する研究班では来年3月末までにある程度の結論を出す予定です。またそれぞれの研究班に、東海骨髄バンクの専務理事である斎藤名大教授、理事の小寺名古屋第一赤十字病院内科部長が含まれており、いままで東海骨髄バンクで行われてきた実績および反省点が今後の研究班の検討に充分反映されることを願ってやみません。  報告書が出されてもすぐにバンクができるわけではありませんが、一歩一歩前進していくことが大切なのです。 骨髄バンクのあり方に関する研究班 【目的】平成元年度に厚生科学研究の中で行われた「骨髄移植の評価に関する研究」を受けて骨髄バンクの具体的な在り方及びバンクの円滑な運営に必要なガイドラインの作成等を行うことを目的とする。 【内容及び班構成】 以下の内容につき2つの班を設け検討会形式で研究を行う。 1.骨髄バンク組織に関する  研究班   我が国に適した骨髄バンク の具体的な在り方(組織母体、 管理・運営方法等)につき、 この分野において見識を持つ 専門家を中心に構成する。平 成2年12月末までに結論を出 すことにする。 2.骨髄移植の適応及び評価  に関する研究班   骨髄データーバンクを利用 する場合におけるドナーの医 学的・倫理的適応基準、レシ ピエントの適応基準、インフ ォームの内容、移植後の治療 成績に関する評価方法等、組 織の円滑な運営、移植の円滑 な実施に必要な具体的ガイド ラインの作成を行い、平成3 年3月末をめどに結論を出す こととする。 【班員】 主任研究者   国立病院医療センター 院長・高久史麿 骨髄バンク組織に関する研究班 (構成員)   名古屋大学医学部第一内科教授 斎藤英彦  日本赤十字社中央血液センター所長 徳永栄一   新潟大学医学部第一内科教授  柴田 昭   東京大学医学部輸血部教授   十字猛夫   神奈川県立こども医療セ小児科部長・長尾大   前東京都立大学人文学部教授  西 三郎   國學院大学法学部教授     平林勝政   大阪成人病センター内科部長  正岡 徹   日本医師会副会長       三島済一 骨髄移植の適応及び評価に関する研究班 (構成員)   東京大学医科学研究所教授   浅野茂隆   京都大学医学部第一内科教授  大熊 稔   国立癌センター小児科部長   大平陸郎   東海大学医学部小児科助教授  加藤俊一   広島大学原爆放射線医学研究所 長蔵本淳   名古屋第一赤十字病院内科部長 小寺良尚   大阪赤十字血液センター部長  柴田弘俊   九州大学医学部第一内科講師  原田実根   金沢大学医学部第3内科教授  松田 保   自治医科大学血液学教授    三浦恭定   北海道大学医学部第3内科教授 宮崎 保  東海骨髄バンクの強力な支援団体の一つにライオンズクラブがあります。今回は、334-A地区のガバナーである墨武司氏からコメントを戴きました。日頃のご協力に感謝の意を表するとともにここに掲載いたします。 私と骨髄バンクとの出合い  ライオンズクラブ国際協会   334−A地区ガバナー        墨 武司  私が名古屋大学第一内科の末席をけがしていた頃は、血液学の概要については理解していましたが、開業医の生活に入りますと、学問の世界と開業医の世界との距離は年々開きました。  そして従来の狭い血液学とその周辺の学問が様変わりになりました。遂に先頭ランナーが小 さくかすんで見えるようになり、 視界から消えるのではないかと自分なりに鞭打っている昨今であります。  骨髄移植と骨髄ドナーバンクについての認識を深めたのはほんの数年前でしたが、私ども開業医には全く疎遠のことでありました。早期に白血病、再生不良性貧血の診断をつけ専門病院に送るのが私どもに課せられた任務でありました。  昨年、新聞、テレビで骨髄移植、骨髄バンクについての報道が次々にあり、本年3月10日の各紙が骨髄バンクを通じ、非血縁者間の骨髄移植成功のPニュースが大きく報道されました。また、名古屋骨髄献血希望者を募る会の存在も、大谷貴子さんの八面六臂の働きを知ったのも昨年の秋頃でありました。  そんな時、1990〜1991年度 334−A地区ガバナーに目されていた私は、次期地区活動重要プログラムに、骨髄バンク事業を是非取り入れたいと自分なりに決意し、昨年暮、太田和雄愛知県癌センター総長にその旨伝え、太田先生より名古屋大学第一内科斎藤教授へそして森島先生、大谷貴子さんに私の意志が伝わったようでありました。 既に当地区では、名古屋瑞穂ライオンズ(森島会長)が1989年11月に先鞭をつけ、骨髄バンク事業をとりあげ署名活動、資金援助活動が活発に行われていました。この名古屋瑞穂ライオンズの活動が私の今後の方向付けを決定的にいたしました。  そこでガバナー就任前の準備会議において、それぞれの役員の方々に骨髄移植とはどんなことか、HLAとは何のことか、骨髄移植は世界で日本でどの程度行われているのか、提供に危険を伴うのか、骨髄バンクはどうして必要か、骨髄登録の仕組みと提供に際してのインフォームド・コンセント(説明と同意)等を詳しく説明しつとめてきました。  ライオンズ会員の間にはかなりの浸透をみましたが、まだ不十分で深い理解を得るには今少しの機関が必要に考えられます。  もとよりライオンズ活動の中にはアイバンク、腎バンク事業がありそれぞれ永年の実績とノウハウは持っており、同質の事業であるとの認識はありましたが、新規のことであり、戸惑いもクラブ員の中にありました。 そこで私はガバナー就任に当たり「骨髄移植そして骨髄バンク」の小冊子を刊行し、地区内はもとより全国のライオンズ組織に配布し、全国レベルのご理解を得るようご協力を求めています。当面の活動として 1.東海骨髄バンクの資金援助 2.骨髄提供者を募る 3.公的骨髄バンク設置への運動 4.骨髄移植の知識普及 をとりあげ、その推進に努めています。   去る6月24日、組織の更なる充実、拡大をめざして、全国骨髄バンク推進連絡協議会が組織を新たに編成しなおし発足しました。名古屋・三重募る会もいままで以上に積極的に全国規模の活動を展開して行くため、 運営委員を派遣、 名古屋募る会代表、大谷貴子は副委員長になり、同時に広報渉外の責任者として活動していくこととなりました。そこでいままでの名古屋募る会の会報とともに、今後は全国協議会発行の会報も皆様にお届けすることといたします。これは購読料、その他の費用はいっさいいりません。皆様方に一人でも多くの方に読んでいただいて全国の状況を把握していただくためです。募る会会報との発行時期の関係で、両方同時におくられる場合と、簡単な案内文(募る会会報の号外扱い)とともに全国協議会の会報のみ皆様におくられる場合とがあります。募る会会報と同様、よろしくお願いいたします。  なお、先に全国協議会に登録されてから、当募る会に登録された方は、二重に協議会ニュースが送られていくことかと思いますが、ご容赦ください。 署名新たな誓願項目で再出発!  いままで行ってきた署名は、5月14日から6月にかけて全政党の国会議員に手渡され、国会に提出されました。「骨髄バンクの早期実現に関する誓願書」は衆議院の社会労働委員会、および本会議にて全会一致で採択され、内閣送付と議決されました。このことにより、百万人を目指して行ってきたこれまでの署名活動は一応の成功をおさめたといえます。署名にご協力していただいた方は総計80万人となりました。この場をおかりして皆様にお礼を申し上げます。 厚生省も4月26日の検討会の報告を受け、新たな組織で骨髄バンクの在り方の研究班を設置、検討にはいっています。骨髄バンクの必要性を国が認めたわけで、署名活動は大きな成果を結びました。そして新たなる出発をしなければならない時期にきました。つまり、骨髄バンクを作れという一方的な要求の仕方ではなく、私たちがどのような骨髄バンクを求めているのかということです。そこで厚生省の結論がでる今年末、または来年3月末を目標に新たに誓願項目を作りなおし、再び百万人をめざして署名活動を行うこととしました。署名活動を行っていくに当たり、今までの署名用紙をお持ちの方は、できるだけ早く送り返してください。今後は参議院へ提出していきます。そして、新しい署名用紙をご請求ください。誓願項目が変わったために、今までにご協力していただいたかたも再びご協力していただけます。誓願項目は今までのものにくらべ骨髄バンクに対する具体的な要求となっています。誓願項目の簡単な説明をさせていただきます。 1.国の責任で「公的骨髄バンク」を 一日も早く実現してく ださい。 イ.提供者の善意と人権や、患者のプ ライバシーが確実に保証されるシス テムとしてくだ さい。 ロ.全国あらゆる地域で善意の輪を広 め募るために、日本赤十字社、都道 府県等がかかわるシステムとしてく ださい。  骨髄バンクは提供希望者が自発的な善意をもって登録します。その善意を無にしないような組織体制をお願いします。  提供希望者は見返りを希望しない善意の提供を前提とします。その意を受け取ってください。 また提供希望者のプライバシーや人権を確実に保証していただける組織を望みます。さらに提供希望者のみならず、ともすれば忘れ去られがちな患者のプライバシー、人権を確実に守ってください。患者は命を助けてもらったのだから、お礼をいうべきだとか、どこそこの誰が骨髄移植を受けて、現在こんなに元気になっているから、それを公表すべきだとか、「いいことなんだから」という大義名分の元に患者のプライバシー、人権は忘れられています。そこを確実に守れる組織を希望します。  また、日本全国どこででも骨髄バンクが知られるようにしてください。都会に住んでいる人と、地方に住んでいる人の善意に変わりはありません。 2.骨髄移植医療体制を緊急に充実し てください。 イ.全国各地で患者が平等に骨髄移植 が受けられるよう、骨髄移植センタ ーの設置や保険点数などの改善など を至急実現してください。  骨髄バンクが順調に運営されるためには、現在の医療体制では無理です。昭和63年度現在、全国に骨髄移植を施行できる病院が18都道府県にしかありません。(現在ではさらに数県増えている)。そして昨年の骨髄移植の実績はほとんどが血縁者間で250人そこそこです。骨髄バンクができ、5万人提供希望者があり、順調に運営されることになれば単純計算で骨髄移植を必要としている人(年間2000人)のうちの80%に骨髄提供者が見つかることになりますが、いまの日本では1600人の骨髄移植をこなす力はありません。これは骨髄移植という治療法が、かなり手間のかかる治療法であること、及び金銭的にかなりかかる治療法であること(無菌室等の設備的な問題、治療費、看護体制等の運営的な問題)が壁となっています。  現在骨髄移植を年間10症例以上行っている施設は全国で10施設のみ(昭和63年度)で、都道府県によっては骨髄移植を行っていない県もあり、日本全国どこででも骨髄移植を希望する患者が等しく均等な機会で骨髄移植をうけることができるようになるためには、さらに設備の充実、および看護体制の確立が必要となってきます。署名誓願の内容は以上です。皆様のご理解ご協力をお願いいたします。  全国都道府県議会議長会の来年度政府予算編成並びに施策に関する要望の中に、造血機能障害者対策の充実についてという項目が採択され、骨髄バンク設立に対する要望が出されました。  その内容を掲載いたします。 造血機能障害者対策の充実について  近年、難知性である白血病、再生不良性貧血等の造血機能障害者の治療法として骨髄移植が行われ、移植数は年々増加しているが、骨髄移植については、患者と骨髄提供者間の白血球の適合率が極めて低く、適合者を確保することは非常に困難な状況にあり、このため、いわゆる骨髄バンクの設立が求められているところである。よって、造血機能障害者の救済をはかるため、骨髄移植に関する治療研究を一層推進するとともに、骨髄バンクの組織等についての具体的な検討を行い、その早期設立を図り、併せて骨髄提供者の拡大のための広報活動の実施など、造血機能障害者対策を充実されたい。  三重でシンポジウムがさる7月21日に行われました。以下、参加スタッフからのコメントを掲載いたします。  去る7月21日津市で三重骨髄献血希望者を募る会主催のミニシンポが開催されました。募る会の設立後1年半の活動経過と今後の活動計画について報告があり、引き続いて「東海骨髄バンクの運営について」、東海骨髄バンク運営委員長、森島先生が講演をされました。出席者は約50人で、小さなシンポでしたが活発な討議がなされました。  質問の内容はドナーの安全性、骨髄採取の方法、DR採血場所などで、三重大学医学部の4人の専門医の先生(南、小林、影山、柴田各先生)と森島先生が熱心に回答をされました。  また、公的骨髄バンクの設立による活動の停滞を懸念する訴えや、医師の役割など質の高い質疑応答が続けられました。  私もバンクへの登録、採血が終わって約一年半、会報を読み、いつでもドナーの登録の覚悟はありますが、DR採血検査通知がこないと登録すら忘れがちでした。しかし、具体的なバンクの進行や、患者が救われている事実を聞き、改めてドナーとしての立場を実感できました。  ミニシンポ参加者 N.W. 編集後記  前回発行から3カ月が経ちました。厚生省の動きも積極的になってきており、日本骨髄バンクも時間の問題となってきました。しかし、骨髄バンクが私たちの必要性とはまったくかけ離れた次元で作られてしまわないように、私たちはしっかりと国の動きを見守っていく必要があります。つまり、いままでは、国の責任のもとに骨髄バンクを作ってほしいという要請をおこなってきましたが、国に全てまかせっきりでよいというわけではありません。もう国が動き始めたから、骨髄バンク運動なんて必要ないじゃないかという方もいらっしゃいますが、本当の運動はこれからだと私たちは思っています。  骨髄バンク運動は、設立要求から、よりよい骨髄バンクに、そして骨髄バンクができた暁にはまだ骨髄バンクを知らない方々、誤解している方々、登録をためらっている方々のために、正確な情報提供、啓蒙活動を行っていく方向に転換していかなくてはいけません。  全国都道府県議会議長会でも、政府に対する骨髄バンク設立要請が盛り込ました。地方行政も骨髄バンクの必要性を積極的に訴えるようになってきました。私たちの名古屋骨髄献血希望者を募る会が発足して2年の間に、はじめは骨髄バンクなんて・・と白い目で見られてきた時期から考えれば夢のようです。  今回、新たな署名誓願項目にふくまれた患者のプライバシー、人権を守ることにしろ、日本人の特質でしょうか、具体的な対象あると(例えば、誰々を助けるためならとか、「・・・を救う会」とか・・・)非常に盛り上がるけれども、自分に直接関わらないことには、無関心どころか、いいことをするんだからと、それに対する『当然の権利として』何がしかの要求を求める場合もあります。  骨髄バンク運動は、そのような低い次元での運動ではなく、ハイレベルでの運動にしていきたいと思います。             (北)