***************************************************************** *TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU* ***************************************************************** * * *  募る会会報 第3号                * * * *               昭和63年 9月 日発行 * * * *    発行 名古屋骨髄献血希望者を募る会 代表 大谷貴子 * *    編集                   北大路元次郎 * * * ***************************************************************** *TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU* ***************************************************************** 今回はアメリカにおける骨髄バンクの実際のついて、アメリカの論文の日本語訳を紹介します。これは、10月27日に、京都で開かれた骨髄移植の勉強会に用いられたものです。 McCullough J, Hamsen J, Perkins H, Stroneck D, Bartsch G:  Establishment of the National Bone Marrow Donor Registry Bone Marrow Transplantation: Current Contraversies.UCLA Symposia on Molecular and Cellular Biology, New Series,Vol 91,Ed:Gale KP and Champlin R,Alan R Liss Inc,New York,NY,1988 (in press) ジェフリー・マッカロウ他 全国骨髄献血登録組織の設立、 要約、National Bone Marrow Donor Registry(NBMDR)は、アメリカ全土に渡る49の血液センターと、17の骨髄移植センターによりなっている。The Operations Coodinating センターはセントポール赤十字センターに、The Statistical Cordinating センターは、ミネソタ大学生物計測学教室におかれている。 現在 64,839人のHLA−A,BをタイプしたアフェレーシスドナーがNBMDRに登録するよう勧誘されている。1988年5月現在17,459人が、登録されている。予備検索は、502人の患者について行われた。ドナー検索が行われた患者は、CMLがもっとも多く、1〜2人のHLA−A,B一致ドナーが得られた患者は、62.5%で、部分マッチドナーは26.1%であった。正式検索は、149人の患者についておこなわれた。このうち何人かは、主治医の要請で中止され、多くは進行中である。40人が検索を終了し、15人(37.5%)がマッチングに成功した。15人中9人が骨髄移植を完了し、6人が待機中である。 NBMDRの創立:  非血縁骨髄ドナーとしてHLAラボのスタッフ、骨髄移植センターのスタッフ、HLAラボによりすでにHLAをタイプされた人、骨髄移植を受けた患者の家族、一般市民、献血者、アフェレーシス献血者などが考えられた。検討を重ねた結果、最短時間に、十分な大きさの骨髄バンクを、倫理的に作る方法は、アフェレーシスドナーへのアプローチであると思われた。 そこで、ARC(アメリカ赤十字)、AABB(アメリカ血液銀行協会)、CCBC(地域血液センター評議会)によりNBMDRが作られることになった。 NBMDRの組織 (Board of Directors)理事会 理事長以下11名 医師、倫理家、政治家、市民代表、                軍人など各界代表 (Steering Commitee)実行委員会 委員長:J.マッカロウ(ミネソタ・セントポール) 他この論文の著者達(ARC,AABB,CCBCの                 各代表と骨髄移植センター代表、ドナーセンター代表) コーディネータ・センター     骨髄ドナーセンター     骨髄移植センター (セントポール 赤十字血液センター)    ARC  AABB  CCBC    17センター 49センター NBMDR運営の基本方針  1.教育情報プログラムをドナーに提供する;ドナーの必要性、骨髄献血のプロセス、骨髄移植 のプロセス。  2.登録は十分な情報資料を受け取り、NBMDRへの登録を許諾したドナーについてのみ行う。 3.NMMDRと骨髄移植センター間に、協定を締結する。協定の内容は次の各項目を含んでい ること。      (1)非血縁骨髄ドナーによる骨髄移植により、治療される疾患の種類。      (2)適切なドナー−レシピエントペアを決定するマッチングの程度。        (3)骨髄移植センターの移植経験       (4)支払いに関する取り決め  4.ドナーの検索は、NBMDRに加入している骨髄移植センターの骨髄移植医の要請によって 実施される。   5.候補ドナーに関する、検査・診断結果はNBMDRにのみ通知され、第三者または他の機関 への告知は、ドナーの同意に基づいてのみ行われる。  6.候補ドナーを特定した後、ドナーセンターのスタッフは、「骨髄献血の意志」は、ドナー自 身が決定できることを含め、骨髄献血に関する情報を与えること。  7.ドナーの代弁者(弁護士?)が患者とマッチした個々のドナーにつけられる。  8.候補ドナーは「骨髄献血の意思」の最終決定の前に、第三者による診察を受けなければなら ない。   9.ドナーの個人情報は極秘事項とする。 10.NMBDRはドナーに金銭的報酬を与えない。 11.NBMDRは骨髄移植患者の予後とドナーの骨髄移植後の影響をモニターする責務を有する。 12.患者や移植チームの地理的都合よりもドナーのそれが優先される。 13.骨髄献血はNBMDRの基準に適合する施設において行われる。 14.ドナーは通常、血液成分輸血を受けなくてもよいようにする。 15.NBMDRは非血縁骨髄移植に関わる研究を、助成する責任を有する。  以上の基本方針は骨髄移植の必要な患者の助成より、ドナーの基本的人権を擁護するための意図 を持っている。 NBMDRに参画する骨髄移植センターの基準:   1.1年に25例以上の同種骨髄移植を行っていること。   2.知識経験技術の文書による証明があること。   3.骨髄移植プログラムが2年以上活動していること。   4.永続的骨髄移植チームを有すること。   5.骨髄移植のための看護ユニットがあること。   6.集中冷暖房により伝染する微生物に起因する院内感染を防止するための、適切な空気管理   システムを持った病室を有すること。   7.地方IRBの許可書があること。   8.十分適切なHLAラボラトリのサポートがあること。   9.十分適切な血液センターのサポートがあること。  10.必要時に放射線治療のサポートがある旨の証明書があること。  11.NBMDRにより決められた、患者予後の報告方策に同意すること。      基準1の「年間25例以上の骨髄移植」は、年間15〜24症例の骨髄移植センターの     臨時的参加を許可する、と改訂された。 非血縁骨髄移植の適応:血縁骨髄移植に準ずる  慢性骨髄性白血病(CML);慢性期、進行期、急転期  再生不良性貧血;重症 遺伝性疾患;HLAマッチ同胞骨髄移植により成功しているもの  悪性リンパ腫、ホジキン病;第一寛解期、ハイリスク  Myelodysplastic Syndromes (MDS) 急性白血病;第一寛解期、ハイリスク、急性白血病;第二寛解期 組織適合性(HLAマッチング)の基準  非血縁骨髄ドナーと患者の適切な組織適合性の程度は不明である。骨髄移植医はドナー検索の依頼に際し、要求される組織適合性の程度を指示する。HLA−DはMLCまたはHTC(ホモ接合タイピング細胞)により検査されるが、NBMDRはその基準を示さない。しかし検査の実施と報告は要求される。  マッチ・グレイド;     A.HLA−A,B,DRの6抗原が一致する表現型     B.HLA−A,B,DRの6抗原のうち5抗原が一致する表現型        B1.mismatch抗原がHLA−A,Bで交差反応抗原であるもの  (minor mismatchという)  B2.mismatch抗原がHLA−A,Bで交差反応抗原でないもの        (major mismatchという)        B3.mismatch抗原がHLA−DRである match grade Bの場合、次の指示ができる          B mismatch抗原がHLA−A座のみ B mismatch抗原がHLA−B座のみ B mismatch抗原がHLA−DR座のみ MLCデータは事前に必要であるが、その許容基準は定めない 非血縁骨髄ドナー募集の現状  アフェレーシスドナーに2種類のパンフレットが配布される。パンフレット1はドナーの興味を引き出すために、骨髄移植の実際をやや感情的にアピールしている。つづくパンフレット2は非感情的で、医学的、技術的なものである。この2種類パンフレット配布後、Q&Aが行われたうち、十分な情報が含まれた「同意書」が送付される。同意したドナーはHLA−DR検査のために採血を要請される。患者にマッチしたドナーはMLCのための採血が行われる。HLAとMLCマッチドナーはさらに骨髄献血の意志決定をたすけるための情報を与えられる。これはドナーセンターにおいて、印刷物、写真、ビデオにより、骨髄献血の危険、副作用、骨髄移植、その手順などが知らされる。同意後、第三者医師による診察を経て、最終同意が得られると、骨髄移植が計画される。 非血縁骨髄ドナー検索のプロセス  予備検索(無料)は骨髄移植センターの医師からコーディネーティングセンターに依頼され、24時間以内にHLA−A,B,DRマッチドナーがドナーID番号とともに骨髄移植センターへ電送される。骨髄移植センター医師は要求されるマッチグレイドを明示して、正式検索を依頼する。以後のプロセスは次の通り    1・HLA−DR,MLCを施行    2・骨髄献血ドナーにさらに詳細な情報を提供する。    3・第三者医師(骨髄移植/ドナーセンターと無関係)による診察    4・感染症、その他の検査    5・骨髄献血の同意書へサイン    6・骨髄移植を計画、日程を決定    7・1単位以上のドナーの自己血液を採取    8・骨髄採取センター医師による診察    9・感染症の再検査、ステップ4から30日以上経過したとき   10・麻酔同意書へサイン   11・骨髄献血実施   12・骨髄移植センターヘ配送 非血縁骨髄ドナー検索の結果  1988年2月4日現在、502例の予備検索と149の正式検索がおこなわれた。詳細は、表に示す。40例が検索を完了しており、15例の患者に非血縁骨髄ドナーが得られた。ドナーが得られなかった25例の検索期間は10〜131日(平均52日)、ドナーが得られた15例の、検索開始から骨髄献血までの期間は21〜155日(平均69日)、であった。検索に関わったドナーセンターは、48センターであった。 編集後記、  骨髄献血希望者を募る会が発足して早4ケ月が経過しましたが、HLAの採血、検査の不十分さ(まだ名古屋でしか行うことが出来ない)ということもあって、タイピングが充分にできていません。患者さんの登録の方も実際まだ始まっていなく、患者家族のみなさまには、非常に歯がゆい思いをされていると思います。募る会に患者さんのHLAを送ってこられた方も何人かいらっしゃって、返事はまだかとの催促の電話を戴きますが、そのような事情で、まだマッチンングはしていません。(マッチングは当「募る会」ではできません、骨髄献血に登録していただいたかたのHLAは、名古屋骨髄移植グループの先生方の責任の元に保管されています。また患者さんのHLAは、移植グループにはまだ提出していません。)いただいた患者さんのHLAはこちらで金庫の中にしっかりと保管してありますが、実際患者登録が始まった場合、主治医の先生をとおして、もう一度書類を提出していただくことになると思います。患者家族の皆様には、非常に焦っていられることも充分承知しています。(大谷代表も充分経験してきました。)しかし始まったばかりのこの運動、確かにここ1年の間に非常な盛り上がりを見せてきましたが、一歩一歩の積み重ねが大切なのです。まだ多くの問題点を抱えている現在、一つ一つ解決しながら前進していきたいと思っています。もうしばらくお待ちください。もうしばらくお待ちください。次回は、骨髄提供者に関する様々な問題点についてお知らせしたいと思っています。(北)