***************************************************************** *TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU* ***************************************************************** * * *  募る会会報 第3号                * * * *               昭和63年 9月 日発行 * * * *    発行 名古屋骨髄献血希望者を募る会 代表 大谷貴子 * *    編集                   北大路元次郎 * * * ***************************************************************** *TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU_TUNORUKAIKAIHOU* *****************************************************************  さる11月23日、名古屋大学内鶴友会館で、第二回骨髄バンク名古屋シンポジウムが開催されました。 ソ連、チェルノブイリ原発事故の時、ゴルバチョフ書記長に呼ばれ、ソビエトにて骨髄移植を施行したアメリカカリフォルニア大学、ゲイル博士を招待し、講演をしていただきました。アメリカでの骨髄移植の実際と、移植で元気になった患者さんのスライドを提示し、「しかし、移植を受けられる人(兄弟とHLAの合う人)は限られており、この様な幸せを一人でも多くの人に与えてあげたい。確かに、非血縁者からの骨髄移植は、アメリカでもまだ始まったばかりなので、今後も皆様の援助をお願いします。」と訴えられました。その後、会場で行われていたHLA検査に自ら進んで採血され(アメリカでは、すでに登録済)、笑顔で会場を去っていきました。  その後、第一回シンポジウム以降の、「募る会」の活動状況を、大谷貴子代表から報告し、「進める会」代表の橋本明子代表からその後の全国状況、そして11月21日に発足した近畿骨髄献血希望者を募る会代表から近畿地方での今後の活動の決意の報告がありました。さらに串田弁護士は骨髄バンクの法律上の問題点をあげ今後の課題であると指摘しました。(詳細は、次回会報掲載予定) Q.ドナーのリスク とは A.骨髄採取自体の 危険性は非常に少 なく、骨髄検査と して外来で局所麻 酔により日常茶飯 事に行っている検 査である が、骨 髄を吸引するときの痛み(局 所麻酔ができるのは皮下と骨 膜だけで骨髄の中までは麻酔 できない。骨髄液を吸引する とき骨髄の中が陰圧になると き非常な痛みがある)がある ので全身麻酔をかける。危険 性としては99%はないが、百 %ではない。また骨髄液は4 00〜500ccとるので予め 自分の血液を取っておいても う一度戻すので、輸血による 合併症(血清肝炎など)の危 険はない。骨髄を取る量は、 体内の約2%位なので、採取 後の骨髄不全の心配は全くな い。今まで世界で1万例以上 骨髄採取が行われ、そのうち 五千例の人達に調査したとこ ろほとんどの人が2〜3日で 退院できた。しかし三百人に 1人は発熱、血圧低下などの 副作用で入院が長引いたが、 後遺症が残ったということは ない。最近厚 生省の研究班 (骨髄移植に関するの結果も アメリカとほとんどかわらな かった。         Q.この会の発足後骨髄移植 をした人はいるのか?緊急に 骨髄移植を必要としている人 は一体どうなるのか? A.まだ正式の患者登録は始ま っていない。近い将来のため に準備中である。故に非血縁 者間での骨髄移植はまだであ る。また登録が始まっても必 ず主治医をとおしてほしい。        Q.ドナーになる場合、受ける 人とあげる人との地域差,年齢, 費用の問題 A.原則としてナーの居住地で ドナーの骨髄液をもらう。骨 髄その物は半日は充分機能し ているので運んで移植する。 出来るかぎりドナーへの便宜 を計る。年齢は16〜60歳、高 校生は登録はよいがマッチン グ(照合)は高卒後にする。  また、未成年の人は、両親 の同意が必要。提供してくだ さる側の費用はいらない。                  金沢で、日本骨髄移植研究会開かれる。さる昭和63年12月9日から10日にかけて、骨髄移植研究会が、開かれました。骨髄バンクに関するセクションで、東京骨髄移植若手医師の会のスタッフらや、名古屋骨髄移植グループの医師らの発表がありました。東京若手医師の会は、骨髄移植に興味を持つ(若しくは、骨髄移植を施行している)若手医師らにより結成されている勉強会のグループで東京で、精力的に活躍されている先生がたです。各施設の骨髄移植の責任者にアンケートという形で発表されました。HLAの検査は、研究費や特別基金一部患者の負担あるいは国からの援助に頼らざるを得ないという意見、提供者の危険保証については、可能ならば損害保険、また国からの援助を必要とするであろうという意見、ただ損害保険は、現実的にはなくアメリカの保険制度を参考にし会社にその実現を要求していくこと、現在患者およびその家族を中心に進められている運動に関してどう思うかという質問に、骨髄移植を過大評価し過ぎているという意見が大半でした。名古屋骨髄移植グループを代表して名古屋第一赤十字病院内科、南三郎先生から骨髄採取経験者に対するアンケート調査の結果の報告がありました。(アンケート依頼百件、解答数71件)骨髄提供後、体調に変化があったか?は「特にない」が大多数をしめ、骨髄採取に関して率直な意見は?は、56の解答数のうち 「思ったより簡単で楽だった」「素晴らしいこと」「満足感」「信じていた」という肯定的な意見が28件、「痛かった」「心配で不安だった」「幼少なのでかわいそうだった」、という否定的な意見が36件、家族はどのように思っていたか?は、大部分が「賛成してくれた」「最後まで反対された」のが、2件。もう一度提供するか?の質問に、「二度と提供したくない」が21%、「どうしても必要ならもう一度しても構わない(親族ならが32件、例え他人でもが14件)」「その場になってみないと解らない」7件。そのほか意見があったらお書きくださいに関して、20解答、「健康に問題なし」、「思ったより楽だった」「患者は助からなかったが感謝している」という肯定的な意見、「手術の後が残っている」「腰痛、傷後の痛みがある」「小さな子供で不安だった(親の意見・・家族の場合、小児科領域ではドナーが幼少でも行う、名古屋骨髄移植グループでは、1歳6ケ月、アメリカでは4ケ月という報告がある)」という否定的な見解、骨髄移植、施設に関する意見として、「骨髄移植に関する研究の進歩、発展を希望する」「無菌室の改善、増設」「移植の恩恵を他の人にも」「骨髄バンク設立の要望」などの意見、さらに「移植の適応に関する意見統一」「ドナーの入院期間などの社会的保証」などの意見が出されました。 これらの発表に対し、すでにイギリスでは17万人、アメリカ、フランスでは5万人と、日本での遅れの指摘があり、名古屋、東京における患者の動きを大切にしなければならないという意見が会場からありました。実際、アメリカで海軍が資金を出してドナープールを作り始めた1985年までの間に、やはり患者グループの活動がそこまで持っていったという経緯、イギリスで17万人のドナープールをつくったアンソリーノーランという団体も患者の親の関係で出来た団体であるという事実をあげ、日本でも各地域で患者の家族を中心に起こっている運動を、いかにして拡げ国に持って行くか、ここ1〜2年非常に大事な時期であるいう意見が出ました。また厚生省が懸念している「提供者の安全性」に関しては、正岡徹・大阪府立成人病センター内科部長が、日本における骨髄採取1620件、そのうち事故と報告があったのは、3件で循環器系のもの(血圧低下等)であったと報告されました。この頻度は、欧米のそれと、ほぼ一致する頻度で、それらの「事故」は、後遺症なく回復した、と付け加えられました。  今回はアメリカにおける骨髄バンクの実際のついて、アメリカの論文の日本語訳を紹介します。これは、10月27日に、京都で開かれた骨髄移植の勉強会に用いられたものです。 McCullough J, Hamsen J, Perkins H, Stroneck D, Bartsch G:  Establishment of the National Bone Marrow Donor Registry Bone Marrow Transplantation: Current Contraversies.UCLA Symposia on Molecular and Cellular Biology, New Series,Vol 91,Ed:Gale KP and Champlin R,Alan R Liss Inc,New York,NY,1988 (in press) ジェフリー・マッカロウ他 全国骨髄献血登録組織の設立、 要約、National Bone Marrow Donor Registry(NBMDR)は、アメリカ全土に渡る49の血液センターと、17の骨髄移植センターによりなっている。The Operations Coodinating センターはセントポール赤十字センターに、The Statistical Cordinating センターは、ミネソタ大学生物計測学教室におかれている。 現在 64,839人のHLA−A,BをタイプしたアフェレーシスドナーがNBMDRに登録するよう勧誘されている。1988年5月現在17,459人が、登録されている。予備検索は、502人の患者について行われた。ドナー検索が行われた患者は、CMLがもっとも多く、1〜2人のHLA−A,B一致ドナーが得られた患者は、62.5%で、部分マッチドナーは26.1%であった。正式検索は、149人の患者についておこなわれた。このうち何人かは、主治医の要請で中止され、多くは進行中である。40人が検索を終了し、15人(37.5%)がマッチングに成功した。15人中9人が骨髄移植を完了し、6人が待機中である。 NBMDRの創立:  非血縁骨髄ドナーとしてHLAラボのスタッフ、骨髄移植センターのスタッフ、HLAラボによりすでにHLAをタイプされた人、骨髄移植を受けた患者の家族、一般市民、献血者、アフェレーシス献血者などが考えられた。検討を重ねた結果、最短時間に、十分な大きさの骨髄バンクを、倫理的に作る方法は、アフェレーシスドナーへのアプローチであると思われた。 そこで、ARC(アメリカ赤十字)、AABB(アメリカ血液銀行協会)、CCBC(地域血液センター評議会)によりNBMDRが作られることになった。 NBMDRの組織 (Board of Directors)理事会 理事長以下11名 医師、倫理家、政治家、市民代表、                軍人など各界代表 (Steering Commitee)実行委員会 委員長:J.マッカロウ(ミネソタ・セントポール) 他この論文の著者達(ARC,AABB,CCBCの                 各代表と骨髄移植センター代表、ドナーセンター代表) コーディネータ・センター     骨髄ドナーセンター     骨髄移植センター (セントポール 赤十字血液センター)    ARC  AABB  CCBC    17センター 49センター NBMDR運営の基本方針  1.教育情報プログラムをドナーに提供する;ドナーの必要性、骨髄献血のプロセス、骨髄移植 のプロセス。  2.登録は十分な情報資料を受け取り、NBMDRへの登録を許諾したドナーについてのみ行う。 3.NMMDRと骨髄移植センター間に、協定を締結する。協定の内容は次の各項目を含んでい ること。      (1)非血縁骨髄ドナーによる骨髄移植により、治療される疾患の種類。      (2)適切なドナー−レシピエントペアを決定するマッチングの程度。        (3)骨髄移植センターの移植経験       (4)支払いに関する取り決め  4.ドナーの検索は、NBMDRに加入している骨髄移植センターの骨髄移植医の要請によって 実施される。   5.候補ドナーに関する、検査・診断結果はNBMDRにのみ通知され、第三者または他の機関 への告知は、ドナーの同意に基づいてのみ行われる。  6.候補ドナーを特定した後、ドナーセンターのスタッフは、「骨髄献血の意志」は、ドナー自 身が決定できることを含め、骨髄献血に関する情報を与えること。  7.ドナーの代弁者(弁護士?)が患者とマッチした個々のドナーにつけられる。  8.候補ドナーは「骨髄献血の意思」の最終決定の前に、第三者による診察を受けなければなら ない。   9.ドナーの個人情報は極秘事項とする。 10.NMBDRはドナーに金銭的報酬を与えない。 11.NBMDRは骨髄移植患者の予後とドナーの骨髄移植後の影響をモニターする責務を有する。 12.患者や移植チームの地理的都合よりもドナーのそれが優先される。 13.骨髄献血はNBMDRの基準に適合する施設において行われる。 14.ドナーは通常、血液成分輸血を受けなくてもよいようにする。 15.NBMDRは非血縁骨髄移植に関わる研究を、助成する責任を有する。  以上の基本方針は骨髄移植の必要な患者の助成より、ドナーの基本的人権を擁護するための意図 を持っている。 NBMDRに参画する骨髄移植センターの基準:   1.1年に25例以上の同種骨髄移植を行っていること。   2.知識経験技術の文書による証明があること。   3.骨髄移植プログラムが2年以上活動していること。   4.永続的骨髄移植チームを有すること。   5.骨髄移植のための看護ユニットがあること。   6.集中冷暖房により伝染する微生物に起因する院内感染を防止するための、適切な空気管理   システムを持った病室を有すること。   7.地方IRBの許可書があること。   8.十分適切なHLAラボラトリのサポートがあること。   9.十分適切な血液センターのサポートがあること。  10.必要時に放射線治療のサポートがある旨の証明書があること。  11.NBMDRにより決められた、患者予後の報告方策に同意すること。      基準1の「年間25例以上の骨髄移植」は、年間15〜24症例の骨髄移植センターの     臨時的参加を許可する、と改訂された。 非血縁骨髄移植の適応:血縁骨髄移植に準ずる  慢性骨髄性白血病(CML);慢性期、進行期、急転期  再生不良性貧血;重症 遺伝性疾患;HLAマッチ同胞骨髄移植により成功しているもの  悪性リンパ腫、ホジキン病;第一寛解期、ハイリスク  Myelodysplastic Syndromes (MDS) 急性白血病;第一寛解期、ハイリスク、急性白血病;第二寛解期 組織適合性(HLAマッチング)の基準  非血縁骨髄ドナーと患者の適切な組織適合性の程度は不明である。骨髄移植医はドナー検索の依頼に際し、要求される組織適合性の程度を指示する。HLA−DはMLCまたはHTC(ホモ接合タイピング細胞)により検査されるが、NBMDRはその基準を示さない。しかし検査の実施と報告は要求される。  マッチ・グレイド;     A.HLA−A,B,DRの6抗原が一致する表現型     B.HLA−A,B,DRの6抗原のうち5抗原が一致する表現型        B1.mismatch抗原がHLA−A,Bで交差反応抗原であるもの  (minor mismatchという)  B2.mismatch抗原がHLA−A,Bで交差反応抗原でないもの        (major mismatchという)        B3.mismatch抗原がHLA−DRである match grade Bの場合、次の指示ができる          B mismatch抗原がHLA−A座のみ B mismatch抗原がHLA−B座のみ B mismatch抗原がHLA−DR座のみ MLCデータは事前に必要であるが、その許容基準は定めない 非血縁骨髄ドナー募集の現状  アフェレーシスドナーに2種類のパンフレットが配布される。パンフレット1はドナーの興味を引き出すために、骨髄移植の実際をやや感情的にアピールしている。つづくパンフレット2は非感情的で、医学的、技術的なものである。この2種類パンフレット配布後、Q&Aが行われたうち、十分な情報が含まれた「同意書」が送付される。同意したドナーはHLA−DR検査のために採血を要請される。患者にマッチしたドナーはMLCのための採血が行われる。HLAとMLCマッチドナーはさらに骨髄献血の意志決定をたすけるための情報を与えられる。これはドナーセンターにおいて、印刷物、写真、ビデオにより、骨髄献血の危険、副作用、骨髄移植、その手順などが知らされる。同意後、第三者医師による診察を経て、最終同意が得られると、骨髄移植が計画される。 非血縁骨髄ドナー検索のプロセス  予備検索(無料)は骨髄移植センターの医師からコーディネーティングセンターに依頼され、24時間以内にHLA−A,B,DRマッチドナーがドナーID番号とともに骨髄移植センターへ電送される。骨髄移植センター医師は要求されるマッチグレイドを明示して、正式検索を依頼する。以後のプロセスは次の通り    1・HLA−DR,MLCを施行    2・骨髄献血ドナーにさらに詳細な情報を提供する。    3・第三者医師(骨髄移植/ドナーセンターと無関係)による診察    4・感染症、その他の検査    5・骨髄献血の同意書へサイン    6・骨髄移植を計画、日程を決定    7・1単位以上のドナーの自己血液を採取    8・骨髄採取センター医師による診察    9・感染症の再検査、ステップ4から30日以上経過したとき   10・麻酔同意書へサイン   11・骨髄献血実施   12・骨髄移植センターヘ配送 非血縁骨髄ドナー検索の結果  1988年2月4日現在、502例の予備検索と149の正式検索がおこなわれた。詳細は、表に示す。40例が検索を完了しており、15例の患者に非血縁骨髄ドナーが得られた。ドナーが得られなかった25例の検索期間は10〜131日(平均52日)、ドナーが得られた15例の、検索開始から骨髄献血までの期間は21〜155日(平均69日)、であった。検索に関わったドナーセンターは、48センターであった。 編集後記  骨髄献血希望者を募る会が発足して早4ケ月が経過しましたが、HLAの採血、検査の不十分さ(まだ名古屋でしか行うことが出来ない)ということもあって、タイピングが充分にできていません。患者さんの登録の方も実際まだ始まっていなく、患者家族のみなさまには、非常に歯がゆい思いをされていると思います。募る会に患者さんのHLAを送ってこられた方も何人かいらっしゃって、返事はまだかとの催促の電話を戴きますが、そのような事情で、まだマッチンングはしていません。(マッチングは当「募る会」ではできません、骨髄献血に登録していただいたかたのHLAは、名古屋骨髄移植グループの先生方の責任の元に保管されています。また患者さんのHLAは、移植グループにはまだ提出していません。)いただいた患者さんのHLAはこちらで金庫の中にしっかりと保管してありますが、実際患者登録が始まった場合、主治医の先生をとおして、もう一度書類を提出していただくことになると思います。患者家族の皆様には、非常に焦っていられることも充分承知しています。(大谷代表も充分経験してきました。)しかし始まったばかりのこの運動、確かにここ1年の間に非常な盛り上がりを見せてきましたが、一歩一歩の積み重ねが大切なのです。まだ多くの問題点を抱えている現在、一つ一つ解決しながら前進していきたいと思っています。もうしばらくお待ちください。もうしばらくお待ちください。次回は、骨髄提供者に関する様々な問題点についてお知らせしたいと思っています。(北)